AmazonのVPSライクなサービス「Lightsail」を使用してみたので、使用感&注意点を紹介します。
そもそも「Lightsail」とは?
Amazonのクラウドサービス「AWS」が提供するVPSライクのサービスです。
ここではAWSの詳細などは割愛しますね。恐らくこの記事を見に来てくれている方の殆どがAWSの概要については把握しており、「Lightsail」の使い勝手や考慮点を調べに来ていると思うので。
なぜVPS「ライク」と言ったかというと、AWSの他のサービスと連携できたり、与えられたリソース(主にCPU)を全て常に使用できるわけでもなかったり、色々と一般的なVPSと差異があったりするからです。その辺は、Lightsailを使用する上で重要なポイントでもあるので、後述します。
一方、このLightsailというサービス、自分の要件にマッチしていたら「めちゃめちゃコスパが良い」です。
逆に要件にマッチしてなかったら「使い勝手が非常に悪い」。
その辺を利用者視点で重要なポイントに絞って紹介していきます。
Lightsailの主な特徴
これだけ理解していたら基本的にOKかと。
EC2みたいなもん(IaaS+Appsのイメージ)
そもそも裏でEC2インスタンスが動いてるっぽいです。
こんな感じでプラットフォーム(OS)を選択できます。後述しますが、WindowsはLinuxよりお高めです(当たり前か)。
また、WordpressなどのAppsも同時に導入することも可能。
初回作成時に導入できるアプリはそれ程多くない。でも、手軽にWordPressのサイトを作ったりはできる。
月額制!!(とても嬉しい!)
これが最も重要!
Lightsailは月額制です。細かくは一定以上のデータ転送量にコストがかかるなどありますが、基本的に月額制だと思って良い。
EC2の場合は、稼働させている時間で課金されますが、Lightsailの場合は「どれだけ稼働させていても、定額」です。
個人でもVMを立ち上げて検証したい、でもEC2みたいな従量制だと細かく起動・停止しないと気になって仕方ない。1円でも節約したい。
セコケチな私にピッタリのサービス!
気になる値段ですが、最も安いプラン(Linux/1vCPU/512MBメモリ)だと
$3.5/月(初回の1ヶ月無料!)
という破格の値段!
つまり、月々約400円で使用できる!日本はVPS激戦区と言われるほどVPSのコスト競争が激しいのですが、その中でも抜きん出てます。
この月額費用には、主に以下のサービスが含まれています。インターネット経由でVMを使用する必要最低限の要素が含まれてるイメージです。
- 仮想マシン(当然ですね)
- ストレージ
- 固定IP(VMにアタッチしている間は無料)
- データ転送帯域
特筆すべきなのは「固定IP」です。ネットで調べていると「固定IPは別料金」の印象を受けるかもしれませんが、仮想マシンにアタッチする固定IPは追加費用なしで使用できます。
ストレージも同様です。例えば最も安い$3.5プランだと20GBのSSD領域が費用に入っています。スナップショットなど特別な機能を使用しない場合は、マジで$3.5で使用できます。
ちなみに$3.5プランはメモリサイズが512MBと極小なのですが、これはスワップを使う逃げ道があります。SSDはそれなりに早いので、昔みたいに「スワップを使用した瞬間に、使えないレベルの遅さになった」とまで酷くはありません。
以下の記事でスワップサイズを変更した結果を紹介しています。
AWSアカウントがあれば、簡単に使える
他のAWSのサービスと同じ感覚で使用できます。
普通にAWSのコンソールの検索画面で「Lightsail」と入力するだけで、Lightsailのコンソールに移動することが可能。
あとは「Create instance」でVMを作ることが出来る。EC2よりお手軽に作れるので、検証にはもってこいです。
リージョンも選べるぞ!
これが国内VPSと違うところですね!
裏はEC2なので、リージョンを選べます!Availability Zoneも選べます!
なので、日本以外の場所にVMを建てることも簡単に出来る!まぁ、通常は距離が近いほど制御しやすいので日本を選択すると思いますが、海外との通信などの簡易検証に使えるのはメリットです。
海外VPSだとLinodeとかVultrがありますが、値段的にはLightsailの方が有利なケースが多いですね。
ファイアウォールも使用可能!
リリース当初はOSのソフトウェアファイアウォールを使わなければいけなかったようですが、AWSのファイアウォール機能が使えるようになっていました。
こんな感じでファイアウォールの設定が可能です。こちらはOSに通信が来る前の段階で遮断してくれるので、OS上でのFW(firewalldやiptables)で細かく制限を掛ける必要がなく、非常に手軽に使用できます。
普通は管理アクセス用のSSHとウェブ通信のHTTP(必要に応じてHTTPS)くらいなので、必要十分の機能だと思います。
気をつけないといけないこと
ここまでLightsailのメリットを紹介しましたが、通常のVPSと比べて「気をつけないといけない点」があります。
与えられたCPUを常に100%使えるわけではない
Lightsailを使用する上で非常に重要な点です。
上記は実際に私が作ったVMの「メトリック」ページです。CPU使用率のグラフなのですが「Burstable zone(オレンジ)」と「Sustainable zone(緑)」の区分けがあるのがわかります。OS上のCPU使用率とほぼマッチしているのですが、Burtable zone(上記の場合は5%以上)は「急激なCPUリソースが必要になった時の応急処理」として使用されるイメージで、通常時は「Sustainable zone」の中にCPU使用率を収める必要があります。
もし通常時のCPU使用がSustainable zoneに収まっていなければ(常に5%以上のCPU使用であったら)、性能が劇的にダウンします。
一般的なVPSの中にはCPUリソースをDedicatedでアサイン可能なものもあるので、Lightsailを使用する際はこの特徴を踏まえて、自分の要件に適しているかを見定める必要があります。
コンソール接続はできない
作成したVM(Instance)へのアクセスは、SSHキーを使用したSSHを使用します。コンソール接続はできないため、VM(OS)そのものがハングした場合はAWSコンソールから再起動する必要があります。
とはいえ、私が立ち上げた$3.5プランのAmazon Linuxインスタンスは、3週間連続で稼働させていますが、今のところ全く問題が発生していません。超安定しています。
結局、どんな利用用途に適してるの?
端的に言うと、主に以下のユースケースだと思います
- 常にVMを動かし続ける
- そんなにCPUパワーを必要としない
- 通常時は殆どCPUパワーを使用しない
- 検証用途。最悪ダウンしてもインパクトが小さい
こんな要件であれば、Lightsailがオススメです。
逆に言うと、上記の4要素のうち1つでもマッチしていなければ、Lightsailを使うメリットは少ないと思います。
例えば以下のケース。
常にVMを稼働させる必要がない
EC2のスポットインスタンスの方が、総合的なコストを抑えられる可能性があります。
そもそも、たまにコードの検証したいだけ
これならEC2さえも使用せず、AWS LambdaとAPI Gatewayの組み合わせみたいなサーバレスソリューションの検討もアリかと。これならほぼ無料でできますしね。
まとめ
自分の利用用途がピッタリマッチしたら、非常にコスパが優れているサービス、それがLightsailだと感じました。
少々クセのあるサービスなので、使用を検討する際には、通常のVPS/サーバーレスサービス/EC2などのIaaSサービスと比較する事をオススメします。
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