CCNA取得を目指している方々のためにCCNA取得の為の勉強方法を紹介しましたが、今回はCCNP版です。CCIEを取得した後に、CCNPの取得で最も効率がよい方法を考えた結果です。
CCNAと大きくは変わりませんが、多少の戦略と参考書籍が変わっています。
はじめに
CCNPは難しくありません!
「はじめに何を言い出すのか?」と思われたかもしれませんが、CCNP(プロフェッショナル)という言葉にビビってしまう人も多いのではと思い、記事の冒頭に書いてみました。
恥ずかしながら、私も昔はCCNPって聞くだけで「すげー!」と思っていました。
でも、実際に勉強してみたらわかるのですが、CCNPはCCNAの延長線上の知識を得るにすぎません。CCNAの範囲を少し深堀するイメージです。
なので、尻込みする必要は全くなく、興味があるのであれば一度勉強してみる事をお勧めします。
また、仮に貴方がCCNAを受験した直後であれば、すぐにCCNPの勉強を始めて取得する事をお勧めします。なぜならば、CCNA取得直後はネットワークの基礎知識がまだ頭にしっかり入っているので、忘れないうちにどんどん知識を深掘りしたほうが、絶対に効率がいいからです。
この記事の対象読者
この記事の対象読者は主に以下に当てはまる方です。
- CCNAは取得した。さらにN/Wの知識を深めたい!というモチベーションが高い方。
- 社命でCCNPの取得を命じられた。
- CCNPという資格自体に興味がある方。
共通しているのは「CCNPを取得したい・取得に興味がある」という事です。
そして、少なくともCCNAを取得しているかはともかく、CCNAレベルのネットワーク知識を持っている方を対象にしています。(CCNP取得にはCCNA取得が前提です)
個人的には、CCNPの取得はCCNAよりも簡単だと思います。その辺りの理由も合わせて、後々説明していきます。
CCNPとは?
CCNPとは、シスコのネットワーク知識を問う資格で、CCNAの上位に位置する資格です。
よく同じレベルで語られる資格として「ネットワークスペシャリスト」がありますが、こちらは国家資格となり、ベンダーに限定されない汎用的な知識が問われます。
CCNPの場合は、CCNAと同じくシスコ製品のコマンドやshowコマンド等の出力結果に対する問題が出たりもします。
CCNAの場合は以下の方法で取得する事が出来ました。
- 「200-120 CCNA」に合格する
- 「100-101 ICND1」と「200-101 ICND2」に合格する
いずれにせよ、試験範囲が同等のテストを受験し、合格する事によってCCNAを取得する事ができました。
CCNPの場合、CCNAよりも範囲が広くなっているため、以下の3つの試験に合格して初めてCCNP取得となります。
- 300-101J ROUTE
- 300-115J SWITCH
- 300-135J TSHOOT
・・・CCNAよりも面倒くさいですね。試験数だけを見ると、CCNAより大変そうに見えます。
でも、実際はルータ(L3)の知識が問われる「ROUTE」と、スイッチ(L2)の知識が問われる「SWITCH」に分かれているだけです。「TSHOOT」は障害切り分けを行う試験で、L3とL2の問題が両方出てきます。
CCNPに合格するまでの勉強期間
「CCNPに合格するまでにどれだけかかる?」という質問、色んな人から聞きます。
これは本当に人それぞれです。また、期間よりも時間での計算の方がいいかもしれません。(期間だと人によっては1週間仕事が多忙で勉強出来ないとかもあるでしょうし)
私はCCIEを見据えてCCNPの勉強をしましたが・・・多分50時間程度だと思います。(期間で言うと1ヶ月でROUTE/SWITCHを取得。TSHOOTは未取得)
以下の勉強方法では、色んな方の意見も踏まえて目安時間を記載しましたが、100時間あれば(効率よく勉強すれば)合格出来ると思います。
この記事のざっくりした内容
CCNPを効率よく取得する方法を書いています
上記の通り、CCNPは3つの試験に合格する必要があります。なので、CCNAよりも少しだけ戦略を練る必要があります。
とは言っても、CCNAの時と大きく勉強方法を変える必要はありません。大きく勉強方法を変える必要があるのはCCIEからです。
ここで書いている勉強方法は、私がCCIEを取得後に再考した勉強方法です。また、周りのCCNPチャレンジャーの方々の意見も多数取り入れています。特に紹介している参考書は、実際にCCNPに合格した方々が最も参考になったという意見が多数あったものです。
ちなみに私はCCNA取得直後にCCNPの勉強を始めて、勉強から1ヶ月で「ROUTE」と「SWITCH」を取得しました。その時も、この記事の戦略で勉強しています。
※ちなみに私はCCNPの「TSHOOT」は受験していません。「TSHOOT」は受験せずにそのままCCIEの勉強へ進みました。その辺の詳細は以下の記事を参照してください。
では本題、CCNPを効率よく取得する方法
基本的に、CCNAと同様に以下のステップを踏んでいきます。「受験する試験の順番を決める」がCCNAと比べると増えたポイントです。
これらを必要に応じて反復します。
- CCNPの試験範囲を把握する
- 受験する試験の順番を決める
- 参考書とネットの信頼性の高いサイトで、ネットワークの基礎知識を身につける
- 問題集でCCNPの試験に必要な知識の補完をする
1.CCNPの試験範囲を把握する
想定所要勉強時間:5時間程度
CCNAの記事でも書きましたが、この作業は非常に重要です。
特に、CCNPになると、CCNAよりも重要なタスクと言えるでしょう。理由は、範囲の広さにあります。
CCNPになると、L3とL2のかなり深い知識が必要になります。深い知識とは、広いテクノロジーを意味します。
この「広いテクノロジー」ですが、CCNPが改訂されるに伴って、内容がかなり変わってきます。例えば、昔のCCNPだとDMVPNはなかったのですが、現在は範囲に含まれています。(少し昔からCCIEにはあったけど)
なので、勉強する前に必ず以下のシスコのサイトで試験範囲を把握しましょう。
このページの下の当たりの「試験」タブをクリックすると、各試験の概要が表示されます。そこで、例えば「300-101J ROUTE 試験」をクリックすると、その試験のBlueprint(試験範囲)を確認する事が出来ます。
初めは、試験の範囲の広さにビックリするかもしれません。でも、落ち着いて考えてみると、CCNAで勉強した範囲も沢山重複しているはずです。さらに言えば、あくまでもCCNAの延長線上だって事がわかるはず。
まずはこの試験範囲を十分に理解して、範囲外の勉強をすることでの時間ロスを最小限にするべきです。(範囲外の勉強は、自分のキャリアには意味があるかもしれませんが、CCNPに合格する為の作業の視点では完全にムダです)
2.受験する試験の順番を決める
想定所要勉強時間:2時間程度
CCNPはCCNAと違い、「ROUTE」・「SWITCH」・「TSHOOT」の3つの試験を受ける必要があります。
この試験は特に受験する順番の制約はありません。順番は好きに決める事が出来ます。
CCNPの試験範囲を確認した後に、勉強に入る前に受験する試験の順番を決めてしまう事をお勧めします。
理由は、勉強は各試験毎に集中して行った方がいいからです。
勉強は3つの試験同時ではなく、1つの試験毎に集中して行うべき
3つの試験の対策を同時に行ってしまうと、どうしても内容が発散してしまいます。結果的に非効率な勉強時間を生み出してしまいます。
また、これは完全な試験対策の内容になってしまうのですが、、人間は時間が経つと勉強した内容を忘れてしまいます。なので、3つ同時に勉強していると、初めに勉強した内容を忘れてしまって再度勉強し直しってことにもなりかねません。
なので、とりあえず一つの試験に集中して対策して、一つずつ合格していくべきです。この方法だと、仮に3つめの試験対策を行っている時に1つめの知識の内容がおぼろげになってしまっていても、既に合格しているので(CCNPに合格すると言う意味では)問題ありません。
お勧めの順番は「ROUTE」・「SWITCH」・「TSHOOT」
どの順番でも問題ないのですが、私はこの順番をお勧めします。
まず「TSHOOT」はL3とL2の問題切り分けを行う試験なので、「ROUTE」・「SWITCH」でL3とL2の知識を得た後の方が断然有利になるので、絶対に最後に受験するべきです。
となると、最初に受験する試験が「ROUTE」か「SWITCH」になるのですが、個人的には「ROUTE」を先に受験した方がいいかと。理由は、ROUTEの方が範囲が広く、難しいからです。「ROUTE」に合格すると、CCNPの最も大きな壁を越えたと考えても差し支えないと思います。
個人的な感覚ですが、「SWITCH」の難易度は「ROUTE」の半分程度でした。なので、先に範囲が広くて難しい方を終わらせてしまった方が後が楽です。
既に得意分野があるのなら、先に終わらせた方が良い
例えば実際に業務でスイッチ関係を経験されていて、スイッチなら得意だよ!って方は、先に「SWITCH」に合格しちゃうのも手だと思います。
要するに、難易度の高い方の試験対策を集中的に行える環境を作る事が最も重要です。
3.参考書とネットの信頼性の高いサイトで、ネットワークの基礎知識を身につける
想定所要勉強時間:50時間程度
CCNAと同様に、いきなり問題集に手をつけるのではなく、先にCCNPレベルの基礎知識を身につける事をお勧めします。
私の経験上、このCCNPの勉強レベルまで達している人は、早い段階で問題集に手をつけてしまう傾向があるように見受けられます。恐らく、それなりにネットワークの知識をCCNAのレベルで取得したので、自信がついたからでしょう。
でも、問題集でわからなければ、結局は参考書やネットのサイトに戻ってしまうので、効率がいいとは思えません。(それでももちろん合格は可能です。ただ、非効率な勉強方法になる可能性があります)
CCNA勉強時と明らかに違うのは、参考書籍やネットの情報収集・選別が効率的に出来るようになっていることです。なぜなら、本当の基礎知識はCCNA取得時に得ているので、どの辺から手をつければ良いかはわかっているはずなので。その意味では、CCNPの方がCCNAよりも簡単だと感じる人がいるかもしれません。
なので、CCNPはやろうと思えばネットのサイトを利用した勉強でも、基礎知識を得る意味では完結出来ると思います。
参考になるサイト
CCNAと同様ですが、私がお勧めするネットのサイトは以下です。
FHRPからOSPFまで、CCNPのかなりの範囲を網羅しています。
もし、英語に自信があれば、以下のサイトのStudy Guideがお勧めです。
上記のサイトはPDFでもStudy Guideを保存出来るので、通勤中に電子書籍リーダを利用して勉強する事も可能です。
この2つのサイトを利用すれば、CCNPのかなりの試験範囲を網羅出来るはずです。
参考になる書籍
鉄板ですが、以下です。実際に私も読んで、試験対策になると確信しています。
翔泳社からも出ていますが、私は上記の書籍の方が内容がまとまっていると感じました。
でも、何度も言いますが、CCNAと違ってネットでのネットワーク関係の情報収集能力が上がっているはずなので、必ずしも上記書籍が必須だとは考えていません。
4.問題集でCCNPの試験に必要な知識の補完をする
想定所要勉強時間:10時間程度
この段階まで行くと、CCNPの試験範囲のテクノロジーに対する知識がそれなりに得られていると思います。
最後は、本当の試験対策です。
CCNPに関しては、Ping-Tは有効。特にコマ問。
CCNAではそれ程押しませんでしたが、CCNPの場合はかなり有効な勉強ソースだと思います。
理由は、CCNPの場合はシミュレーション問題の比重がかなり大きいからです。なので、問題集を単純に勉強するだけでは不十分で、Ping-Tみたいなコマ問があった方が効率的に勉強ができます。
本当は実機を揃えてコマンドを叩くかGNS3みたいなエミュレータを用意するのが一番なのですが、予算の兼ね合い等もあると思いますし。正直、CCNPまでは一切コマンドを叩かなくても合格しようと思えば出来ると思います。ただ、それが実務に通用するかは疑問ですが・・・
またCCNPを取得した場合、会社の周りも「あの人はそれなりにシスコ機器に詳しいんだ」と思われかねないので、コマンドをそれなりに覚えておいた方がいいかと。
問題集は必ず購入しよう
上記に書いた通り、Ping-Tは有効です。私も試してみました。有効ですが、やはり細かい説明等が不明瞭だったり、不足している点もあると感じました。
なので、問題集を購入して何度も問題を解いて、試験のシミュレーションを頭の中で行う事は非常に重要です。
私が周りのCCNPチャレンジャーの意見も参考にして、おすすめする問題集は以下です。先輩から無期限で借りるか、購入しましょう。
問題集も翔泳社からも出ていますが、やはりこちらの方が丁寧という意見が大半でした。私個人もそう思いました。
問題集は紙の本を買って、パラパラめくりながら勉強をするのが一番なのですが、やはり重いです。
私は通勤時の勉強をCCIEチャレンジャーにも強くお勧めしているのですが、通勤時にすわれない方はKindleなどの電子書籍バージョンを買った方がよいかもしれません。書籍が重くて持ち運びに苦労して、結果的に勉強に対するモチベーションが下がってしまうと本末転倒なので。(でも、こういうケース、本当にあるので注意しましょう)
その他、よくある質問など
以上が、私がCCIEを取得後に結論づけた、CCNAを取得する上での最も効率のよい勉強方法となります。
以降は参考情報として読んでください。主に多くのCCNAチャレンジャーから頂いたFAQとなります。
なぜ、私がTSHOOTを受験していないのか?
これは、別の記事でも書きましたが「受験する価値が感じれなかったから」です。
私は、CCNAの受験を視野に入れた段階で、CCIEも目指そうと考えていました。CCNAはネットワークの必要最低限の知識を得る為に必須だと感じましたが、CCNPのTSHOOTは参考書等に目を通すと「CCIEで勉強するから不要じゃね?」と感じ始めたのです。
でも、これが全ての人に共通するかと言うと、そうじゃないと思います。人によっては社命でCCNPの取得が必要な方もいるでしょうし、その場合はTSHOOTに合格しないとCCNPを取得出来ないので。
CCNP持ってても実務では通用しないと言われたけど?
これ、色んな人から聞きます。他に「CCNA持ってても・・・」っていうCCNAバージョンもあります。
こういう話を聞くたびに思うんです。
「なぜ、せっかく勉強しようと思っている人に水を差ようなことをするのだろう・・・」
私の意見は「CCNPで得た知識は、絶対に実務でも役立つ」です。
通用するかは何とも言えません。仕事の内容によるので。CCIE持ってるだけだと通用しない仕事だっていっぱいありますよ。
でも、CCNPの勉強は絶対にネットワークの仕事をする上で役立ちます。また、上位資格であるCCIEを目指す上での一番の近道です。実際私がそうでした。
なので、そんな訳が分からない事を言う人は放っておきましょう。「そうなんですねー」って言って流しておけばいいのです。
そして、合格してCCIEの勉強に進みましょう(笑)
CCNPの研修は参加した方が良い?
ここでの研修とは、Global Knowledgeとかが主催している集合研修の事です。
個人的には、不要だと思います。私自身集合研修は行かずにROUTEとSWITCHを受験しました。いずれも一発合格です。
最後に
以上が私がCCIE取得後に、CCNP勉強時を思い出したり周りのCCNPチャレンジャーの意見を聞いた結果の勉強方法です。
多分、当たり前のことがほとんどだと思います。でも、この当たり前のことを継続する事で、CCNPの取得が効率よく行える事を確信しています。
最後に一点。当記事の中盤でも書きましたが、ネットワークエンジニアであれば電子書籍リーダの購入を強くお勧めします。理由は、ネットワーク関係の参考書籍は非常に重くて持ち運びに苦労するからです。
持ち運びが大変だと、結局読む頻度も下がってしまいます。勉強の効率化の阻害要因ナンバー1な気がします。
電子書籍だと、リーダーの重さ以外は関係ありません。何冊持ち歩くのも余裕です。電車や、友達の待ち時間等、様々な隙間時間を有効に活用して勉強する事が出来ます。
個人的には、ネットワーク書籍の豊富さから、Kindleをお勧めします。価格も1万円程度と非常に手頃です。Kindle書籍は紙の書籍よりも値段が安い事が殆どなので、1万円程度だとすぐにペイ出来てしまいます。
もし既にiPad Miniみたいなタブレットがあるなら、タブレット上でKindleアプリを起動出来ると思うので、その場合は上記のような専用デバイスを購入する必要はありません。
CCNP取得で重要なのは、いかに効率よく隙間時間を作って上記の勉強教材を使って勉強するかです。勉強時間を作って勉強さえすれば、誰でも合格可能です。アスリートのように、才能が必要ではありません。
行動が大切です。この記事を読んだ後すぐに行動するくらいのモチベーションを持つことが大事です。
KindleのIT書籍(ネットワーク含)は現在最大60%OFFキャンペーンをやってます。ブログで紹介した書籍「インフラ/ネットワークエンジニアのためのネットワーク技術&設計入門」も実質半額になってます。
コメント
はじめまして。
現在CCIE取得に向けて勉強中で、当ブログ内容をいつも参考にさせてもらってます。
当面の目標はATC・ワークブック・公式本の読破です。
CCNPを取得したのはつい最近ですが、僕も黒本は本当に良い参考書だと思いました。
これからも更新楽しみにしております。
はじめまして。
ブログ見てくれてるんですね。ありがとうございます!
黒本は、解説もかなり丁寧なので、実際の仕事にも役立つと思うんですよね。買っておいて損はない書籍だと思います。
今後ともよろしくお願いします。