【追記】BTC-S37の購入を検討している方は、以下を読んでください。
以前紹介したAliExpressの仮想通貨マイニングマザーボード「BTC-37」のPCIEスロット間が長くなった「BTC-S37」が届いたのでレビューします。
BTC-37(BTC-T37)と違う点もいくつかあったので、実際に購入する人はご留意ください。
BTC-37について
仮想通貨のマイニングに特化したマザーボードです。仮想通貨のマイニングを個人で行う時はグラフィックカードを複数使用するケースが多々あり、そのグラフィックカードを搭載できるスロット(PCIE16スロット)が多いのが特徴。通常のマザーボードだと多くて4箇所程度なのですが、このマザーボードだと8箇所もあります。
一般的なマザーボードだとPCIE16用のライザーカードなどを用いて搭載数を増やしたりするのですが、このライザーカードも相性があったりしてギャンブル要素が大きい。その点、このマザーボードさえ安定したら、ライザーカードの追加購入やトラシュー時の障害点が減るのでメリットが大きいです。
で、この「BTC-37」のモデルですが、2021年5月9日時点では以下のモデルが確認されています。
- BTC-T37
- BTC-D37
- BTC-S37
それぞれのモデルの最も大きな違いは「PCIEスロットの間隔」です。T37のPCIEスロット間の間隔が最も小さく、S37が最も大きい。
スロット間隔が大きいほど上位モデルのグラフィックボードが搭載可能。上位モデルになるほど実サイズが大きくなりますからね。また、排熱の観点でも有効です。
コストは数千円程度の差です。AliExpressはSellerによって値段が違ってくるのですが、T37が$140で売られているSellerでは、S37が$170程度で売られていました。モデルが変わるにつれて$15程度の差異が発生するイメージですね。
前回はBTC-T37のレビューを行いました。
友人の代理で購入したのですが、BTC-T37が壊れた時用にバックアップのマザーボードも購入してほしいとの要求があったので、今回はBTC-S37を購入しました。
実際に購入して稼働テストをまとめたのが今回の記事となります。今回は簡易的な動作確認のみを行ったのでグラフィックボードは搭載しませんでしたが、実際に稼働確認をしていく中で「BTC-T37との違い・T37の方が良い点」も確認できたので、その辺も詳しく解説していきます。
レビューの前に・・・
これはBTC-T37のレビュー時にも同じことを書いたのですが、再度書いておきます。
海外のネットサイト未経験の方は、AliExpressでの購入はオススメしません。
AliExpressはAmazonとか楽天とはクオリティが全然違います。商品が届くのに1ヶ月以上かかるのはザラですし(誇張ではなく本当に平均で1ヶ月程度かかると思っておいたほうが良い)、違う商品が届くこともあります。
そんな問題が発生したときは販売元に直接連絡する必要があるのですが、日本語が通じなければ英語でコンタクトしなければいけません。相手も中国語しか出来なくてGoogle翻訳した英語が返ってきたり、そんな感じのやり取りを含めた価格設定だと思っておいたほうが良いです。
海外のネットサイト未経験の方は、AliExpressでの購入はオススメしません。
AliExpressはAmazonとか楽天とはクオリティが全然違います。商品が届くのに1ヶ月以上かかるのはザラですし(誇張ではなく本当に平均で1ヶ月程度かかると思っておいたほうが良い)、違う商品が届くこともあります。
そんな問題が発生したときは販売元に直接連絡する必要があるのですが、日本語が通じなければ英語でコンタクトしなければいけません。相手も中国語しか出来なくてGoogle翻訳した英語が返ってきたり、そんな感じのやり取りを含めた価格設定だと思っておいたほうが良いです。
販売元によっては、こちらからコンタクトをとらなければ永遠に送ってくれない悪意満載のSellerもいます。そんな時は「早く送らないとAliExpress本部に連絡してショップアカウントの取り消しを依頼するぞ」など、強い交渉が必要になります。
繰り返しますが、国内のネットショップとは品質も購入後に必要なエネルギーも全く異なる性質であることを理解しておく必要があります。
後述しますが、この商品自体マニュアルも一切同梱されていないモノでした。ある意味ネタとして友人も購入したものなので、この記事の内容が全ての方に適用できるとも思えません。
購入・利用は完全に自己責任でお願いします。いつ燃えるかもわかりません。
私が購入したSellerについて
上記の通りAliExpressは注意しないといけない点が多々あるのですが、それを承知の上で購入を検討している方へ、私が購入したSellerを紹介します。
とりあえず届きました。しかし、到着まで3週間以上かかりました。
開封してみた
前回のBTC-T37と同じようなビニール袋で到着。
ビニールを開けると梱包材で包まれていました。海外通販の中ではそれなりに丁寧な梱包の印象。
さらに開封。
ダンボール登場。
ダンボールを開けると、台紙が登場。
台紙をどかすと本体が袋に梱包した状態で登場。BTC-T37の時と同じです。
袋から取り出してみました。
外観の紹介
さて、いよいよ外観の紹介です。
全体がこちら。右がCPUやメモリスロットで、左は完全にグラフィックボードを搭載する専用箇所です。マイニング特化ですね。
CPUはオンボード。BTC-T37と同じです。
MSATA搭載スロット。PCIEスロットの間にあるのですが、一般的なグラフィックボードだと物理的に干渉することはないでしょう。
CMS用のリチウムイオンバッテリーはCR2032でした。普通ですね。BTC-T37は付属していなかったのですが、今回のBTC-S37ははじめからついていました。中華なのに日本語で「リチウムバッテリー」の記載が。
最も気になるPCIEスロット。やはりBTC-T37と比較するとそれなりの間隔があります。またBTC-T37はスロットの色が黒だったのに対し、BTC-S37は青色です。
ライザーと同じく、それぞれのスロット用の6pin電源をセットすることが可能。各PCIEスロットは(BTC-T37と同様に)ロックはありませんでした。
PCIEスロットの幅を細かくチェック。5.5cmくらいですね。
ボード全体の長さもチェック。
57.5cmくらい。。。長い!
稼働確認するために、メモリスロットに2GBのメモリをセット。メモリスロットは1つしかありません。
HDMI/SUB/USB/LANなどのインターフェースはBTC-T37と同じようです。
簡易的な電源スイッチも同じ。
では、いよいよ稼働確認・・・まさかの事態に!
稼働確認するために電源を接続しようとして、、、ハッとしました。
カンの良い方は気づいたかもしれないのですが・・・
あれ?電源(ATX 24pin)はどこに挿すの?
そうなんです。BTC-S37、いくら探してもATX電源(24pin)を挿す場所がないのです。
BTC-T37はメモリの後ろに24pinインターフェースがあったのですが、BTC-S37はそれがない。。
つまり、ATX電源の24pinからは電源供給をせずに、6pin経由でシステム電源も取るっぽいです。(ここからは完全に推測。自己責任。)
しかし、6pin経由でシステム電源を取るとしても、マザーボードの起動に連動した電源ONができないのです。このままでは。
この対応方法としては色々ありますが、結局は「電源の24pinのNo15とNo16をショートさせている」に過ぎません。別にその辺のピンでショートさせても良いのですが、自分はパソコンの物理層のエキスパートではないので以下を購入しました。
これを使えば簡単に電源を独立して起動することが可能です。まぁボードの裏でNo15とNo15をショートさせているだけでしょうが・・・自分でやるよりは安心感がある気がします。
実際に接続してみました。
で、マザーボード側にはPCIE1に対する6pinだけを接続してみました。
つまり、この時点でマザーボードに接続されている電源は、上記のPCIE1用に接続されている6pinのみです。6pinの定格は最大75Wのはず。
これで本当にマザーボードが起動するのでしょうか・・・
かなり不安になってきたので、一応ワットチェッカーも接続しておきました。まだ電源をONする前なので、0W消費となっています。
で、いよいよ電源のスイッチをONにしてみました・・・
おおお!しっかりBIOSの画面が表示されました。ひとまず問題無さそうです。CPUも普通に動いていました。
ワットチェッカーを見ると「29W」でした。つまり、PCIE1用の口からシステム用の電源が供給されているのは間違いないっぽい。
参考までに、上記の「19W」がBTC-T37の初期状態でした。つまりBTC-T37よりS37の方が10W程度多いって事ですね。個人的にはこの10W差はS37を運用する上でのデメリットだと思います。
また、PCIE1スロット用の電源からシステム電源を取ってるってのも不安要素です。。PCIE1にGTX 1660 Superみたいなスロット供給が激しいカードを挿した時にどうなるか、心配です。
BIOS画面など
無事システムの稼働が確認されたため、次はBIOSを見ていきましょう。
BTC-T37と同様の「American Megatorends」でした。
メモリも問題なく認識できました。
とりあえずマザーボードとしての動作が確認できたので、本日は以上で終了となります。
まとめ
以上がBTC-S37のファーストインプレッションとなります。
やはりBTC-T37と比較してスロット間隔が大きいのが特徴ですね。
実際にBTC-T37と並べて比較してみたら一目瞭然です。
スロット間隔以外は、どうせBTC-T37と大きさ以外は違いがないやろ
と油断していたのですが、まさかのATX 24pinのインターフェースがないという事実があったのは想定外でした。まぁ自分の事前調査不足なのですが・・・
24pin用の起動スイッチは高くない買い物なので、BTC-S37の購入を検討している方は事前に準備しておいたほうが良いかもしれません。
スロット間隔が大きいのは重要なメリットなのですが、一方でシステム消費電力がT37と比較すると大きかったのも想定外でした。10Wというとケースファンをそれなりに搭載できる容量なのでバカにならないです。
ライザーレスマザーの購入を検討されている方の参考になれば幸いです。
コメント
いろいろしらべていたのですがBTC-S37のPCIEスロットの電源は独立していないので電源2つでの運用ができないようです。T37のほうは独立しているようなのでスロットの間隔が短いので悩ましい…
コメントありがとうございます。
電源系統に詳しくなくて恐縮ですが、電源2つでの運用ができない理由についてもう少し教えていただければ嬉しいです。
当記事で紹介した電源検証ボードに電源2分岐を接続し、2つの電源を組み合わせたら出来ると推測していたのですが、「PCIEスロットの電源が独立していない」の
意味を私が理解していないのでしょうか。
頂いた情報をもとにBTC-S37のリスクについて記事を書きました。
ありがとうございます。
https://ccie-go.com/btc-s37-disadvantage-solution/
従来のライザーカードでマイニングする場合、GPUとGPUが刺さっているライザーカードが同じ電源から給電されるように気をつければ、電源を複数使うことができます。これはマザボとライザーカードを接続するUSBケーブルはデータのやりとりのみしており、電源は独立しているためです。例:電源1でGPU1/2/3とマザボを給電、電源2でGPU4/5/6を給電。
このBTC-S37の場合、マザボのPCIE6pinのコネクタがすべて直結されているようです(テスターがあれば短絡されていることを確認可能)。そのため、上記の例のように給電した場合、電源1の12Vと電源2の12Vが繋がれ、電源が並列で接続されることになります。
ATX電源は並列に繋ぐことは想定されていないので、例えば電源ごとに電圧のばらつきがある(±0.5Vくらいまでは仕様)ことによりバランスよく給電されない、最悪電流が逆流する。また片方の電源が故障した際の動作が想定外なので怖い。他にも問題があるかもしれませんが自分も把握できていません。
海外の掲示板を見た限り、複数の電源を使いたい人たちは避けているようです。
どうしてもこのマザボで複数電源使いたい場合、2つ目の電源から給電したいGPUをライザーカード経由でマザボに繋げれば大丈夫ですが、本末転倒な感じです。
情報及び解説ありがとうございます。海外フォーラムも見ていると、おっしゃるとおりの結果になっていますね。
時間ができたらテスターを利用してPCIE1-8のスロットが直結されているかも確認しようと思います。